「なんとなく今の会社を辞めて、もっと良いところがあれば…」と漠然と転職を考える方は少なくありません。
でもこの“なんとなく”が、転職では意外と落とし穴になってしまうことがあります。
転職先を探す前に押さえておきたいのが、まさに「転職の軸」。今回はその重要性と、どう作るのかについて見ていきましょう。
転職の軸とは?
「転職の軸」とは、転職活動における自分なりの判断基準・価値観・大切にしたいポイントのことです。
例えば、以下のような自身にとって譲れないことが軸となります。
・「年間休日120日以上でワークライフバランスを重視したい」
・「新規事業・成長フェーズの会社でチャレンジしたい」
・「リモートワーク主体で在宅勤務を中心に働きたい」
この軸を明確にしておくと、ただ求人情報を見ているだけでなく、自分に合うか合わないかを判断しやすくなります。
転職軸がないと何が起こる?
この転職軸がはっきりしない状態で転職を進めると、このようなことが起きてしまいがちです。
・求人を見てとりあえず応募するだけで、どの企業もしっくり来ない
・面接で志望動機と聞かれた際、答えがぼんやりしてしまう
・入社したら「思っていた環境と違った……」とミスマッチに繋がる
・働いてみたら自分とは合わず、すぐに別の転職を検討する
逆に軸がしっかりしていると、“どの求人が自分に合っているのか”という視点で選べるため、面接でも自分らしい言葉が出やすくなります。入社後の満足度も高くなるでしょう。
転職軸をつくる3つのステップ
では具体的に「自分の軸」をどう作ればいいか、3つのステップに分けて紹介します。
①過去・現在の整理
まずはこれまでのキャリアを振り返りましょう。
Q:どんな仕事をしてきて、どんな時に「楽しい」と感じたか?
Q:逆に「辛かった」「この環境は合わなかった」と感じたことは?
Q:現在、働き方や待遇・環境で「こうだったら良いな」と思っていることは?
このように自分自身の経験・感情をひとつひとつ整理することで、自然と軸となるものが浮かび上がってきます。
②価値観の言語化
次に、「働く上で大切にしたいもの」を言葉にしましょう。
給与・休日・勤務地・働き方・成長環境・社風・人間関係……どれも大事な要素ですが、優先順位をつけることで“自分の軸”が際立ってきます。
例えば、「収入アップ > 新たなチャレンジ」なのか、「働き方の自由度 > 高年収」なのか。
優先度が明確になっていれば、求人を見た時に自身の価値観と照らし合わせやすくなります。
③目指すキャリアの方向性を描く
最後に、「3年後・5年後にどうありたいか」を考えてみましょう。
「マネジメントに挑戦したい」「専門スキルを深めたい」「地域に根ざした働き方をしたい」など、未来の自分の姿が描けると、そのため転職すべき職場が明確になるでしょう。
転職軸を活かすポイント<求人票・面接・入社後>
では、この軸は転職活動においてどう活かしていけばよいのでしょうか。求人票を探す際、面接を行う際、そして入社後の3つに分けてお話します。
求人票
求人票を探す際は、自分の転職軸をもとに、どの項目をチェックすべきかを意識してみましょう。
たとえば「成長できる環境」を重視しているなら、研修制度やキャリアパス、評価制度などを確認するのがおすすめです。
一方で「働きやすさ」を軸にしている人は、年間休日数や残業時間、リモートワーク制度などの情報を丁寧に見てみましょう。
軸の内容に合わせて見るポイントを整理しておくと見極めやすくなります。
面接
面接では、転職軸をもとに、志望理由やキャリアプランの方向性を一貫して伝えることが重要です。
たとえば、働き方の軸として、チームで成果を出すことにやりがいを感じるならば、過去の経験を交えて、その姿勢をどのように活かせるかを話すと効果的です。
また、逆質問の場面では、自分の軸に関わる点(評価制度や働き方など)を確認することで、入社後のミスマッチを防げます。
入社後
入社後も軸を意識しながら働くことで、モチベーションを保ちやすくなります。
もし働くなかで、自分の軸と少しズレてきたと感じたら、それは価値観が成長している証拠です。
定期的に軸を見直すことで、自分らしいキャリアを長く築いていけるでしょう。
まとめ
転職活動を成功させるには、「とりあえず転職する」のではなく、 “自分が本当に大切にしたい働き方・環境・キャリア”という軸を持つこと が不可欠です。
軸が明確であれば、転職活動もスムーズに進みやすく、自分が納得できる転職に繋がります。
まずは過去を振り返り、価値観を言葉にし、未来の自分を想像する――この3ステップで、あなたの“転職の軸”をぜひ描いてみてください。


